日本は横、韓国は縦?食べる前から違う、お箸の置き方

食べる人から見た日韓の配膳例。日本は手前に横向きのお箸、韓国は器の右側に縦向きのスプーンとお箸。

韓国料理のお店で席に着いたら、料理が来る前にテーブルをちょっと見てみてください。

日本の食卓では、お箸を手前に横向きに置くことが多いですよね。一方、韓国では、ご飯やスープの右側にスプーンとお箸を縦向きに並べた姿をよく見かけます。

同じようにお箸を使うのに、食べ始める前から少し違う。今回は、そんな「置き方」に注目してみましょう。

料理が来る前から文化の違いに出会えるなんて、お箸もなかなか忙しいですね(笑)。

目次

🥢 日本は横、韓国は縦?まずは置き方を比べてみよう

食べる人から見た日本と韓国のお箸・スプーンの配置比較

※配置を比べるための簡略図です。農林水産省「ご存じですか?“和の配膳”」、韓国農水産食品流通公社「韓国の基本的な食事マナー」を参考に当ブログで作成しました。原図の転載ではありません。

日本の和食の基本的な配膳では、ご飯が左手前、汁物が右手前。そのさらに手前に、お箸を横向きに置きます。箸先は左、持つ側は右です。[1]

韓国で数人が食卓を囲むときの配膳例では、右側にスプーンとお箸を縦向きに並べます。並び順は、左がスプーン、右がお箸です。[2]

「縦」といっても、ご飯にお箸を立てるという意味ではありません。テーブルの上に寝かせたときの向きの話です。

🍚 日本のお箸は、どうして手前に横向きなの?

食器を持つ動作と、配膳の関係

和食の配膳は、見た目だけでなく、食べるときの手の動きにも関係しています。

さいたま市の食育資料では、左手で持つ機会の多いご飯茶碗を左手前に置くことや、箸先を左に向けてお箸を手前に置くことが説明されています。[3] 右手でお箸を使い、左手で茶碗を持つ場面を思い浮かべると、器の位置にも意味があると感じられますね。

ただし、これは配膳の実用面の説明です。「持ちやすいから横置きが始まった」と、歴史上の起源まで言い切れるわけではありません。

料理と人を隔てる「結界」という見方も

もう一つ、少し面白い文化的な解釈があります。

和食文化国民会議に掲載された柳原尚之さんのコラムでは、横に置いたお箸を、料理と食べる人との間の「結界」として捉える考え方が紹介されています。食べ物と人をつなぐ道具でありながら、その間に一本の線を引く存在でもある、という見方です。[4]

お箸が、食べるためだけの道具ではなく、食に向き合う気持ちとも結びついてきたことがうかがえます。

いつも何気なく置いている二本に、思った以上に大きな役目がありました。

一方で、同じコラムでは、なぜ現代まで横置きが続いたのか、正確な答えは分かっていないとも説明されています。[4]「結界だから横向きになった」と一つの理由に決めつけず、文化的な解釈の一つとして知っておくとよさそうです。

🥄 韓国は、お箸だけでなくスプーンも一緒

ご飯・汁物と、おかずで道具を使い分ける

韓国の食卓を考えるときに外せないのが、スプーンの存在です。

ソウル歴史博物館の「銅製のスプーンと箸」の解説では、スプーンはご飯や汁物をすくい、お箸は汁気のない食べ物をつまむ道具として、両方が併用されてきたと紹介されています。[5]

国史編纂委員会の「ウリ歴史ネット」も、三国時代の匙と箸の併用を、汁物と汁気のない料理を一緒に食べる食事内容と関連づけています。[6]

おかずをつまむだけでなく、ご飯やスープをすくう。そのため、配膳でも二つの道具をどこに置くかが大切になるんですね。

お箸だけでスープまで担当するのは、さすがに無理がありますしね(笑)。

右側に並べる配置は、食べ方と一緒に見ると分かりやすい

韓国農水産食品流通公社の案内では、器を持ち上げず、スプーンとお箸で口まで食べ物を運ぶ基本的な食べ方が説明されています。また、ご飯が左、スープが右という配置と、スプーンですくいやすいことを関連づけています。[2]

右側にあるスプーンを取り、いったん置いてからお箸を取る。そうした動作と合わせて見ると、二つを手元の右側に並べる配置をイメージしやすくなります。

ただ、今回確認した資料からは、韓国で縦置きが始まった時期や、その理由を一つに特定するところまでは分かりません。ここでは、現在の配膳と食べ方の関係として紹介しています。

👀 実は、韓国でも横に置くことがある

ここで「日本は横、韓国は必ず縦」と覚えてしまうと、少し違います。

韓国農水産食品流通公社は、一人用の丸いお膳では、右手前にスプーン、その奥にお箸を横向きに置く例も紹介しています。[2]

つまり、国の違いだけでなく、お膳の形や食事の場面によっても置き方が変わるんですね。

「なるほど、韓国は縦!」と覚えたところで、さっそく横置きも登場。食卓の文化は、一言では収まってくれません。

日本についても、柳原さんのコラムには、一部の地域で正月の祝い箸を縦に置く風習があると紹介されています。[4] 普段よく見る置き方にも、場面による違いがあるのが面白いところです。

韓国料理店では、どこを見ればいい?

次の食事では、こんなところに注目してみてください。

  • お箸は体の手前にある? それとも器の右側?
  • スプーンとお箸は、どちらが左にある?
  • 自分一人のお膳と、みんなで囲む食卓で置き方は同じ?

「違っていたら間違い」と探すのではなく、その食卓ではどう使うのかを見てみると、道具と食べ方のつながりが見えてきます。

自宅で韓国料理を作るときも、料理に合わせてスプーンを添え、右側に並べてみると、食卓を比べるきっかけになりそうです。

お箸の向きから、食卓の文化が見えてくる

韓国料理を食べるときは、味やメニューだけでなく、食卓の準備にも小さな発見があります。

次にお店へ行ったら、「スプーンはどちら側?」「お箸は横? 縦?」と、食べ始める前に少し見てみてください。

お箸の素材や、スプーン・食器の使い方については、こちらの記事でも紹介しています。

→ 韓国と日本のお箸・食器の違いを知るとごはんがもっと楽しくなる

みなさんのおうちでは、お箸をどこに置いていますか? 💬

参考資料

  1. 農林水産省 中国四国農政局掲載「ご存じですか?“和の配膳”」p.43: 資料を読む
  2. 韓国農水産食品流通公社 日本支社「韓国の基本的な食事マナー」: 資料を読む
  3. さいたま市 食育なび「料理の並べ方に決まりごとってあるんですか?」: 資料を読む
  4. 一般社団法人和食文化国民会議、柳原尚之「箸−箸の美意識−」: 資料を読む
  5. ソウル歴史博物館「동제수저(銅製のスプーンと箸)」、所蔵番号:서울역사010585(韓国語): 資料を読む
  6. 国史編纂委員会「ウリ歴史ネット」、三国時代の食生活・調理道具に関する解説(韓国語): 資料を読む

資料確認日:2026年11月1日

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